2008 田中角栄内閣の外交と経済政策


2008年度 Ⅲ

問題

次の二つの文章は、1972年に発足した田中角栄内閣の政策に関するものです。これを読んで、下記の問いに答えなさい。(問1〜問4まですべて400字以内)

 

資料1
一 日本国と中華人民共和国との間のこれまでの不正常な状態は,この共同声明が,発出される日に終了する。
二 日本国政府は,中華人民共和国が中国の唯一の合法政府であることを承認する。
三 中華人民共和国政府は,台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は,この中華人民共和国政府の立場を十分理解し,尊重し,ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。

資料2
<掲載せず:『日本列島改造論』>

2008年度 Ⅲ

問1 

資料1は、田中内閣が中華人民共和国政府との間でかわした共同声明の一部です。この共同声明は何か、いかなる内容を取り決めたものか、簡潔に説明しなさい。この共同声明が結ばれるに至るには、当時の国際情勢の変化がありました。声明締結を促した、国際情勢の変化となる事実を2つあげなさい。

 

問2 資料1の三は,いかなることを取り決めた条項であるか,説明しなさい。また,この条項に付随して,台湾との外交関係で変更がもたらされました。それは何かを説明しなさい。
問3 資料2の文章は,田中首相の著書の中の一文です。この考え方に基づいて田中内閣がとった政策とは何か,答えなさい。また,その政策の内容を簡潔に説明しなさい。

問4 資料2の考えに沿った政策は,日本経済に,内閣が考えたのとは異なる重大な影響をもたらしました。その影響とは何か,政策との関連を含め,具体的に説明しなさい。また,当時,その経済的影響を加速した世界的なできごとが起こりました。その出来事とは何か。どうして経済的影響を加速したのか,説明しなさい。

2008年度田中角栄に関する出題。そろそろ田中角栄関連が出題されるかもしれない。昨年度、田中本がヒットした。政治とは何か!が問われている。

【解法のヒント】

問1

日中共同声明の名称を答え、内容を簡潔に説明すればよい。

日中共同声明が結ばれるのに至る国際情勢は何か?

⑴米中の接近である。ベトナム戦争が泥沼化したため、アメリカは中国を通じて北ベトナムと和平を目論む、そして1972年ニクソンが訪中。もう一つは中華人民共和国が国連の代表権を獲得したこと、この二つが説明できればよい。

《より深く学ぶ》

田中角栄(当時通産大臣)はニクソンが訪中した一ヶ月後の衆議院予算委員会で次にような発言をしている。

問2

日中共同声明の三の条項の取り決めとして、台湾を中華人民共和国の一部と認めることで、中華民国を否定したことを説明する。また、中華民国と日本との国交が断絶したことを説明したい。

問3

問われているのは→田中角栄がとった政策とその内容。

日本列島改造論。太平洋ベルト地帯に集中した産業を、高速道路・新幹線を利用した、日本海側などへの分散を書けばよい。

問4

列島改造政策の影響

インフレーションと地価高騰、それにともなう物価上昇が説明できればよい。

列島改造により経済的影響を加速させた世界的な出来事は→オイルショックを説明すればよい。