年度 2017年 第2問
次の史料は,婦人参政権獲得期成同盟会の宣言書である(一部を省略のうえ,表記を改めている)。これを読んで下記の問いに答えなさい。(問1から問4まですべてで400字以内)。
一,我等は二千六百年来の因習を破り,男女ともに天賦の義務権利に即して新日本建設の責務を負ふべきことを信ず。
一,明治初年より半世紀にわたり⒜国民教育においてすでに男女の別なく,また女子高等教育の門戸も開かれつつある今日,普通選挙の実施にあたり女子を除外するは不当のことといはざるを得ず,我等はこれを要求す。
一,我国の⒝職業婦人はすでに四百万に達せり,その利益擁護のために参政権を要求するは当然のことと信ず。
一,我国大多数の⒞家庭婦人はその生活完成のため,法律上国家の一員たるべくこれを要求す。
一,市町村における公民たり,また国家の公民たる資格を求めて我等は参政権を必要とす。
一,以上は宗教の異同,職業の差異,あらゆる異同を除きただ女性の名において一致し得る問題なるがゆえに,ここに大同団結を作り婦人参政権獲得運動をなす必要とその可能性とを信ず。
問1 婦人参政権獲得期成同盟会の母体のひとつとなった,1920年設立の組織の名前,および両組織の結成を主導した人物1名の氏名をあげなさい。
問2 下線部⒜に関して,初等教育において男女に均しく学ばせることを目指すと最初に打ちだした法令の名前と,公布された年を答えなさい。
問3 下線部⒞の家庭婦人とは,この史料ではどのような女性をさしているのか,説明しなさい。また,下線部⒝の職業婦人とは,どのような女性のことをさすのか,職業婦人が登場してきた社会的・経済的な背景とあわせて論じなさい。
問4 日本における参政権の動向について,同性間および異性間の差異に着目しつつ,19世紀まで遡って論じなさい。また,婦人参政権獲得期成同盟会の結成以降,婦人参政権が認められるまでの運動の展開についても,論じなさい。
【解法のヒント】
問1
1920年設立の名前→新婦人協会で問題ない。
主導した人物→市川房枝
問2
学制で1872年、学制がなに72フラフラしている。だったね!
問3
職業婦人とは、タイピストや電話交換手を指す。家庭婦人と対比すれば、企業で働く女性一般を指す言葉である。大戦景気以降、工業生産が拡大し、都市化が進む中で流通・小売などの第3次産業が成長し、女性が就業する機会が広がった。いわゆるエリート層の中では、タイピストや電話交換手として勤めたり、バスの車掌など接客業務につく女性が増えた行った。
一方、家庭婦人は企業で働く女性を除くそれ以外の女性である。農業や自営業を想定できよう。