現社でGO! 28 労働基本権と労働三法
➊労働運動の歴史
➡イギリス:ラッダイト運動
➡日本:治安警察法・治安維持法による弾圧
➋労働基本権の確立 ★★
➌公務員の労働三権の制限と代償行為 ★
① すべての公務員は、争議行為を行うことができない。
② 警察・消防・刑務所・海上保安庁の職員と自衛隊員は、争議権だけでなく、団結権、団体交渉権も認められていない 。
③ 労働三権制限の代償措置として、人事院(国家公務員)、人事委員会(地方公務員)が給与や労働条件の改善に関する勧告を行う制度が設けられている。
➍労働三法 ★ 制定された順番もチェック 労働三法の詳しい内容は出題されないが基本的なことは知っておいた方がよい
➡労働組合法(1945)
不当労働行為の禁止 |
使用者が労働組合活動を妨害する行為は禁止。正当な理由なく団体交渉を拒否すること、組合への支配・介入・組合への経費援助、黄犬契約(組合に加入しないことが雇用条件)、不利益取り扱いなど。 |
民事免責 |
正当な争議行為によって使用者側に損害が発生しても、労働者は民法に規定されている賠償責任を免除される。 |
刑事免責 |
正当な争議行為について、労働者は刑罰を科せられることはない(刑法上の威力業務妨害罪など)。 |
➡労働関係調整法(1946)
労使間で争議を自主的に解決できない場合、労働委員会(労働者委員・使用者委員・公益委員)の三者同数で構成される行政委員会)が調整を行う。
斡旋 |
斡旋員が労使双方の主張を聞き、調停案を提示する。ただし、労使双方とも調停案を受諾する義務はない。 |
調停 |
調停委員会が労使双方の主張を聞き、調停案を提示する。 |
仲裁 |
仲裁委員会が仲裁裁定を出す。斡旋・調停と異なり、労使双方を拘束。 |
➡労働基準法(1947)
労働条件の最低基準を定める法律。 ➩同法の実施状況を監督するために、各都道府県に労働基準監督署が設置されている。
基本原則 |
労使対等、均等待遇(国籍・信条などを理由とする差別的取り扱いの禁止)、男女同一賃金など。 |
賃金 |
通貨で、労働者に直接、全額を、月1回以上、一定期日に支払う。 |
労働時間 |
1日8時間、週40時間以内。労働基準法に基づく労使協定があれば、所定外労働は可能。所定外労働については割増賃金を支払う必要がある。 |
休日 |
週に最低1日を保障。年次有給休暇の保障。 |
年少者 |
児童(15歳未満)の使用禁止。 |
女子保護 |
産前産後休暇・生理休暇の保障。残業 ・深夜労働・休日労働についての女子保護規定は原則として撤廃(1997)。 |
➎労働時間の弾力的運用(労働基準法) ★
➡フレックスタイム制
コアタイム(全従業員が業務についていなければならない時間帯)を除いて、出社・退社の時刻を従業員が選択できる。
➡変形労働時間制
一定期間について、1週の平均労働時間が40時間を超えなければ、1日8時間の法定労働時間を超えてもよい。
➡裁量労働制
労働時間の配分や仕事の進め方を労働者の裁量に委ね、実際に何時間働いたかにかかわりなく、仕事の成果によって賃金を決める。
★センター過去問にチャレンジ(2004年度)
男女労働に関する記述として適当でないものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① |
労働基準法は,1歳未満の子どもがいる男女労働者が育児のために一定期間休業することを保障し,その承認を企業に義務づけている。 |
② |
男女共同参画社会基本法は,男女が性別による差別的取扱いを受けることなく,あらゆる分野の活動に対等に参画できる社会形成を目指している。 |
③ |
男女雇用機会均等法は,男女が共に働きやすい職場環境をつくるために,セクシュアル・ハラスメントの防止を企業に義務づけている。 |
④ |
夫婦同姓を定める現行の民法については,一方の配偶者が不利益を被(こうむ)ることもあるとして,選択的夫婦別姓制度を求める動きがある。 |
正解→
【2012年本試24*】日本の労働法制で定められた内容に関する次の記述A~Dと,それらに対応する法律の名称ア~カとの組合せとして最も適当なものを,下の①~⑧のうちから一つ選べ。
A 労働条件は,労働者が人間らしい生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
B 労働者が労働組合員であることなどを理由として,その労働者を解雇したり,不利益な取扱いをしたりしてはならない。
C 労働関係の当事者は,労働争議が発生したときには,誠意をもって自主的にその解決に向けて努力しなければならない。
D 事業主は,職場における性的言動によって,その雇用される労働者の就業環境が害されることのないように,必要な措置を講
じなければならない。
ア 最低賃金法 イ 労働関係調整法
ウ 労働基準法 エ 労働組合法
オ 男女共同参画社会基本法 カ 男女雇用機会均等法
① A-ア B-イ C-オ D-カ
② A-ア B-イ C-ウ D-オ
③ A-ア B-エ C-ウ D-カ
④ A-ア B-エ C-ウ D-オ
⑤ A-ウ B-イ C-オ D-カ
⑥ A-ウ B-イ C-ア D-オ
⑦ A-ウ B-エ C-イ D-カ
⑧ A-ウ B-エ C-イ D-オ
解答:⑦
【1997年本試31】1970年代の半ば以降,約20年間にわたり,労働組合の組織率(推定)が減少の傾向にあった理由として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 製造業などの第二次産業と比べて,組織化が難しい第三次産業での雇用が増えてきた。
② 労働組合の活動の意義が労働者に理解されにくくなり,若者を中心に意識の面で組合離れが生じてきた。
③ 労働組合がこれまで組織化に力をいれてこなかった,パートタイムやアルバイトなどの非正規の従業員が増えてきた。
④ 第一次石油危機後,大企業を中心に従業員の雇用保障が進み,労働組合が労働者のために活動する意味が薄れてきた。
解答:④
【2007年追試26*】雇用に関する法制度の改正についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 労働基準法の改正により,従業員一人当たりの労働時間を減らして,雇用の分かち合いを図るワークシェアリングが導入された。
② パートタイム労働法の施行により,短時間労働者の雇用拡大と正社員への切替えを促進する取組みが強化された。
③ 労働基準法の改正により,裁量労働制の適用が認められ,労働時間の長さより成果を重視する弾力的な時間管理が可能になった。
④ 労働者派遣法の改正により,派遣可能な業務について規定が無かったところを専門職に限るよう変更された。
解答:③
【2004年追試30】最近の日本における若者の就職についての記述として適当でないものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 大学を卒業した後,契約社員や派遣社員といった雇用形態で働く人たちが増えてきている。
② 在学中に企業などで就業体験ができるインターンシップ制度を取り入れる大学が増加し,それに参加する機会が増えた。
③ 新卒採用の就職協定がなくなるとともに,大学生の民間企業への就職活動が以前より早い時期から行われるようになった。
④ 経済的自立を求める志向が強まり,大学を卒業した後に進学も就職もしない者の割合は減ってきている。
解答:④