1 日本の伝統思想と外来思想

今年伊勢神宮がブームだ。

記紀の世界

日本誕生の話が書かれているのが古事記と日本書紀です。神であるイザナギ(男)とイザナミ(女)は日本列島をつくり、その後イザナミはさまざまな神様を生んだ。最後に火の神を生んだが、その時の火傷が原因でイザナミは死に、死者の世界へ送られる。黄泉の国だ!イザナギは、嘆き悲しみの中、イザナミを助けに黄泉の国に行くが、そこでイザナミはすでに死者の穢れに毒され変わり果てていた。黄泉の世界からかろうじて逃げ帰ったイザナギは、川で禊をして、穢れを洗い清めた。その洗い清められた穢れから、天照大神スサノオが生まれ天照大神は天界を、スサノオは海原を治めることになった。

 やがてアマテラスは愛孫ニニギを地上に下して日向の高千穂に居所を定めていたが、その曾孫イワレヒコは兄たちとともに東方ヤマトに本拠を移すことを企て、「東征」を開始する。

 東征では兄が戦死するなど各地で
天照大神は、神々の住む世界である高天原の中心的存在です。しかし一方で、天照大神自身もほかの神々を祀る存在でもある。キリスト教やイスラム教と違って唯一絶対神ではない。

 

日本の伝統思想=記紀神話の世界観
『古事記』『日本書紀』の八百万神

 古代の日本人にとって、自然は神々と不可分の結びつきを持っていた。万物を生み出す産霊(むすび)の神という言葉が示すように、彼らは、自然の山や川の中に霊的な力が宿るという精霊信仰(アニミズム)的な考えを抱いていたのである。自然には、八百万の神が宿る。その自然は人間に恵みをもたらすと同時に災厄をもたらすこともある。その災厄に耐え、自然のからの恵みを受け取るために、人々は、神を祀る祭祀を行い、神を招くことで祟りを免れ、豊か恵みがもたらされるよう祈願したのです。そしてその共同体の安全を害するような暗き心・汚い心を避け・退けるのである。それが共同体に融和し和合する心=清き・明き心=清明心である。(97センター)
ポイント

❶精霊信仰=アニミズム(03センター)日本の神の性質

❷理想の精神➡清明心=共同体に融和・和合する心であることを理解しなければならない。

❸禊・祓いとは何か?(95センター)罪=穢れ➡禊・祓いにより清められる。

 

センター過去問2003

古代日本における祭祀に関する記述として適当でないものを選べ。2003

① 祭祀に奉仕する者は、心身に付着した穢れを除くため禊を行った。

② 祭祀を執り行う者は、聖職者として政治的支配階層から排除されていた。

③ 祭祀を妨げる行為は罪とされ、これを犯した者には祓えが課せられた。

④ 祭祀の場では、神に対して欺き偽らない心のありようが重んじられた。