大戦後の経済状況・経済政策


【解法のヒント】

アベノミクスという経済政策は、高橋是清の経済政策と類似している。2012年・2010年類題。

主題→金融恐慌にいたる歴史的経緯を、

条件→鈴木商店と台湾銀行を中心に説明せよ。

❶鈴木商店が台湾銀行をメインバンクにして急成長した。

❷大戦景気終了後、慢性的な不況が続く。多くの企業の経営は悪化し、これらの企業を支えていた金融機関は多額の不良債権をかかえるようになる。

❸1923年さらに関東大震災発生、井上蔵相→モラトリアム発令→震災手形割引を補償する→震災で決済不能だけでなく不況で決済不能も含まれていた。鈴木商店の振り出した手形決済不能、台湾銀行の保有する震災手形も膨大だった。

❹若槻内閣が震災手形処理法案提出するが、国会審議中に片岡直温蔵相が失言→預金者預金引き出しに殺到→金融恐慌広がる。

❺鈴木商店倒産、台湾銀行も危機に直面→若槻内閣は枢密院の同意を必要とする→台湾銀行を救う緊急勅令を提出

❻蒋介石の北伐開始→日本の対中国輸出激減、若槻内閣は北伐に干渉しない方針をとる。

❼在華紡・陸軍・立憲政友会VS若槻内閣の構図→幣原の軟弱外交と批判、緊急勅令案を否決。

ここから高橋是清の登場!

満州事変後の1931年に犬養毅内閣の蔵相高橋是清は、金輸出再禁止を断行した。恐慌下で産業合理化を進めていた諸産業は、円安を利用して飛躍的に輸出を伸ばしていった。またそれまでの緊縮財政を転換して、恐慌対策と軍事費の増大をもりこんで予算を拡大する政策をとった。このためインフレーションがすすみ、同時に円相場が下落したため、綿製品をはじめ輸出が躍進し、日本経済は1933年には大恐慌以前の生産水準に回復した。