ロシアに関する出題では、ラクスマン・レザノフ・ゴローウニンが定番で、これに対する幕府の蝦夷地対策では、近藤重蔵・最上徳内・間宮林蔵の動きをおさえる。幕府による蝦夷地直轄化も見落とさないこと。次は、イギリスによるフェートン号事件とその後の異国船打払令、アメリカ商船モリソン号打ち払いと蛮社の獄がポイント。難関大では幕府の対応、海岸警備を命じられた諸藩、地図も正確に把握しておきたい。
天明期に起きたこととして正しいものはどれか、1つ選びなさい。
ア 工藤平助が『赤蝦夷風説考』を田沼意次に献上した。
イ 水戸藩で徳川斉昭が弘道館を創設した。
ウ 江戸ではじめて打ちこわしが起きた。享保期
エ イギリスの軍艦フェートン号が長崎に侵入する事件が起きた。
オ ロシア使節のレザノフが日本との通商を望むロシア皇帝の親書をたずさえて、日本に来航した。
【解答と解説】
正解→ア。赤蝦夷風説考は工藤平助が田沼に献上したのだから、田沼時代が天明期だとわかる。
慶應の経済に特有の年代整序問題である。一橋大受験者の併願を意識しているので、センター試験にも対応し、論述は一橋に類似している。単なる暗記でなく歴史を深く考えさせる
a 異国船打払令 b 天保の薪水給与令発令 c 東蝦夷地の幕府直轄化
ラクスマン来航
2東蝦夷地の幕府直轄化
レザノフ来航
3
フェートン号事件発生
4異国船打払令
モリソン号事件発生
5
アヘン戦争勃発
6天保の薪水給与令
ビッドル来航
7
日米和親条約調印
8
3 近世の外交 早稲田(法)2010
1 江戸時代のロシア使節の来航順として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
あ レザノフ →ラクスマン →プチャーチン
い ラクスマン →レザノフ →プチャーチン
う プチャーチン →ラクスマン →レザノフ
え ラクスマン →プチャーチン →レザノフ
お レザノフ →プチャーチン →ラクスマン
【解答と解説】
正解→い。プチャートンがポイント。1792年、ラクスマンが大黒屋光太夫をともなってやってくる。
2 幕府の命により北方探検を行い、ウルップ島にまで達したのは誰か。1つ選びなさい。
あ 間宮林蔵 い 近藤重蔵 う 伊能忠敬 え 最上徳内 お 工藤平助
【解答と解説】
最上徳内は4度目の上陸で、クナシリ、エトロフからウルップ北端まで行き、各地を調査。
3 ロシアの南下に備え、林子平が海岸防備の必要を説いた書物の名を、漢字4字で記せ。
【解答と解説】
正解→海国兵談👉林子平の海国兵談は頻出!
6 列強の接近と幕府の対応 早稲田(社学)2013
次の記述のうち不適切なものはどれか。2つ選べ。
イ ロシア使節ラクスマンは、大黒屋光太夫ら漂流民を日本に届けさせるとともに通商を求
めた。○
ロ 幕府は、近藤重蔵・最上徳内らに樺太を調査させた。樺太でなく択捉島で✖︎
ハ 高野長英は『戊戌夢物語』を、渡辺崋山は『慎機論』をそれぞれ書いて、当時の幕府の
対外政策を批判した。○
ニ 幕府は、1810年に川越藩と会津藩に江戸湾防備を命じた。白河と会津✖︎
ホ ロシア使節レザノフは、長崎に来航し、通商開始を要求したが、幕府はこれを拒絶した。
誤文→ロ・ニ。ロ→樺太でなくエトロフ島である。川越藩でなく白河藩。✖︎
幕末の外交1792〜1860
|
列強の接近 |
幕府の対応 |
田沼時代 |
1778(安永7)露船、蝦夷地 厚岸 に来航 |
1783(天明3)工藤平助 『赤蝦夷風説考』 ↓ [露との交易・蝦夷地開発計画] 田沼を触発(俵物) 1786(天明6)最上徳内 ら蝦夷地探検 |
松平定信 |
1792(寛政4)ラクスマン(露)根室来航(エカチェリーナ2世) ↓ 大黒屋光太夫らを送還 桂川甫周『北槎聞略』 ラックスマンと大黒屋はセットもの |
1792 林子平『海国兵談』 『三国通覧図説』発禁 1798(寛政10 近藤重蔵蝦夷地探検 1799(寛政11)東蝦夷地直轄 1800(寛政12)伊能忠敬蝦夷地測量 |
文化・文政期 |
1804(文化1) レザノフ (露) 長崎 来航 滞在6ヵ月 通商要求拒絶 部下が樺太・択捉などを攻撃
1808(文化5)フェートン号事件(英) ↓長崎奉行(松平康英)自害
1828(文政11)シーボルト事件 高橋景保『蛮書和解御用』地図持ち出し |
1806(文化3) 文化の憮恤令 1807(文化4) 全蝦夷地直轄
1808間宮林蔵(間宮海峡発見) 1811(文化8)ゴローウニン 事件(露) ↓ 『日本幽囚記』 1813(文化10)高田屋嘉兵衛と交換
1825(文政8)異国船打払令
|
天保期 |
1837(天保8)モリソン号事件(米) 浦賀に来るが撃退される
1842南京条 清が香港を割譲
|
1839蛮社の獄 幕政批判 尚歯会(渡辺崋山・高野長英)処罰 崋山「慎機論」長英「戊戌夢物語」 1842(天保13)天保の薪水給与令
|