開国とその影響


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NO2 開国とその影響 POINT

日米和親条約・日米修好通商条約に関連する事項が中心となる。条約調印に至る経過では関係した人物名、条約の内容では開港地などが要注意であるが、とくに不平等条約の内容は頻出事項である。貿易の開始では、輸出入品と、貿易が日本に与えた影響がよく狙われる。五品江戸廻送令万延小判は頻出事項。井伊直弼に絡んで将軍継嗣問題安政の大獄なども視野に入れておく。

7 幕末開港期の変遷 慶應(経済)2007

 慶応大経済学部の問題は、きわめて特色がある。出題範囲は江戸から近現代分野だけである。何故、そのような出題になっているか!①一橋大受験者が慶應大を受験するような主題傾向になっていることがあげられる。②慶應の伝統である「実学」が影響していると思う。江戸期からの実利的な経済へシフトしているのかな、と思う。③もう一つ、私はセンター試験の年代整序問題に、慶應の問題は非常に役立つと考える。

 いつ、どこで、という歴史の流れを理解できる。だから慶應大経済学部の問題は大好きだ。

 

問1 幕末期の開港に関連して、下の表は幕末開港期の変遷に関する出来事を年代の古い順に並べたものである。次のadの事項は年表のどこに入れるのがもっとも適切か、年表中の空欄1〜7から選びなさい。

 a 五品江戸廻送令 b 薩英戦争 c 条約勅許 d 日米修好通商条約調印

 

 1

ペリー初来航

 2

日米和親条約調印

 3

横浜・長崎。箱館の3港で貿易開始

 4

生麦事件
 5

四国連合艦隊が下関を砲撃

 6

改税約書調印

 7

【解答と解説】

日米修好通商条約が締結されたので横浜・長崎・箱館の3港が開港となる➡(3—d

。生麦事件のあと、イギリスは薩英戦争後、そのまま北上下関で暴れまくる、(5—b)。薩英戦争後大坂まで足をのばし条約勅許を強引に進めた(6—c)。最後に、五品江戸廻送令は、日米修好通商条約によって物価高騰、窮余の策として出される(4—a)。

8 日米和親条約 正誤問題 早稲田(文)2006

 日米和親条約に関して述べた文として正しいものが2つ選びなさい。

 

 ア 領事駐在権を容認した。

 イ 江戸・大坂の開市、自由貿易を認めた。

 ウ 横須賀製鉄所の設立を取り決めた。

 エ 下田・箱館を開港した。

 オ 長崎・横浜に居留地を設けた。

正文→ア・エ

 

9 幕末における貿易 慶應(経済)2008

 開港以降の幕末における貿易に関する事項について述べた次の1〜4の文章の中から、誤りを含むものを1つ選びなさい。

 1 安政の五カ国条約では神奈川などの開港が決められていたが、神奈川は横浜に変更さ

  れ、開港以降の貿易は、横浜・長崎・箱館の3港で開始された。

 2 主要な輸出品となった生糸と絹織物の国内生産量は一貫して増大したが、輸入品に押

  された綿作や綿織物業は打撃を受けた。

 3 国内外の金銀比価の違いにより大量の金貨が流出したため、幕府は金の量を減らした

  金貨を鋳造し大量流出を防止しようとした。

 4 幕府は、生糸・雑穀・水油・蝋・呉服の5品については、横浜への直送を禁じ、江戸

  の問屋を経由して送るよう命じた。

【解答と解説】

誤文→2。絹織物が違う。主要な輸出品は生糸と茶である。

10 幕末期における日本の貿易 慶應(経済)2014

 幕末期における日本の貿易に関する次の第1図、第2図中の、abに入る国名と、cdに入る品目を、下のそれぞれの語群から選びなさい。

 第1図 横浜港における貿易相手国(1865年)  第2図 日本の貿易品目(1865年)

 

[国名]

 1 アメリカ 2 イギリス 3 オランダ 4 スペイン 5 中国 6 フランス

[品目]

 1 生糸 2 毛織物 3 蚕卵紙 4 茶 5 綿織物 6 綿糸

解答と解説

基本的な問題であるが頻出する。貿易品目輸出入の第2位を答えさせるところが渋い。2番目まで覚えるがキーワードである。

貿易港

下田は神奈川の開港6カ月後に閉鎖、新潟・兵庫【実際には神戸】の開港は遅れたので、1859年の貿易開始は横浜・長崎・箱館で始まったことを理解せよ。貿易の多くは、横浜で行われた。貿易相手国の中心は【イギリス】で、アメリカは、南北戦争が起こったこと等で増えなかった。外国人は開港場の居留地に住むことが義務づけられた。

貿易品目

輸入は(毛織物)(綿織物)・武器・艦船等、輸出は、(生糸)()・蚕卵紙・海産物等。貿易は当初、大幅な輸出超過であった。

正解→a=2イギリス、b=2イギリス。c=5、d=茶

 

11 江戸幕末期の貿易 早稲田(商)2015

 1854年、日米和親条約が結ばれ、この条約では日本からアメリカに片務的な〔 イ 〕が付与された。また、イギリス・ロシア・オランダとも同様の条約が締結された。その後、1858年に日米修好通商条約が結ばれ、オランダ・ロシア・イギリス・フランスとも同様の条約が調印された。開港に伴い、ロ貿易が開始されたが、ハ国内経済には混乱も生じた。「江戸協約」ともよばれる〔 二 〕では、貿易取引が諸外国に有利になる条件へと変更された。

 

A 空欄イに該当する語句を漢字5字で記せ。

 

正解→最恵国待遇。他国と結んだ条約において、日本がアメリカに与えたよりも有利な条件を認めた時は、アメリカにも自動的にその条件が認められることをいう(山川教科書251㌻脚注❷)。

B 下線部ロについて、幕末期の貿易の説明として誤っているものを1つ選びなさい。

 1.貿易相手国との協定にもとづいて関税率が決定された。

 2.日本の主要な輸出品として、茶・蚕卵紙・海産物などがあげられる。

 3.貿易取引額は横浜港が最も多かった。

 4.アメリカとの貿易取引が最も多かった。

 5.日本の主要な輸入品として、毛織物・軍需品などがあげられる。

4が誤文。当時アメリカは南北戦争中、貿易取引額第1位はイギリス。

 

C 下線部ハについて、幕末期の経済の説明として正しいものを1つ選びなさい。

 1.開港当初から継続的に輸入が輸出を超過し、国内の品不足から物価が上昇した。

 2.安価な綿織物の輸入によって国内の綿作は打撃を受けた。

 3.雑穀・茶・水油・呉服・生糸の流通が統制の対象とされた。

 4.日本では金1に対して銀15、外国では金1に対して銀5の金銀比価であった。

 5.万延貨幣改鋳が実施され、物価の抑制に成功した。

解答と解説授業テキストを見てみよう!全てテキスト内の解答である。

貿易品目

輸入は(毛織物)(綿織物)・武器・艦船等、輸出は、(生糸)()・蚕卵紙・海産物等。貿易は当初、大幅な輸出超過であった。

五品江戸廻送令

雑穀)(水油)()(呉服)(生糸茶が入っていないことに注意

NOTE 品不足

貿易が始まってまもなく日本は輸出超過。物価の安い日本の物はよく売れる。爆買いですね。生産者(在郷商人)は問屋に通さないで商品を直接港に持っていく。江戸に品物が入ってこなくなり、江戸が品不足で物価は上がる。そこで五品江戸廻送令だ。

金の流出

金銀比価が外国で115、日本で15であったことはよく出る。金貨流出の原因は、外国に比べ、日本は銀に対しての金の価値が低かったからである。

 

万延貨幣改鋳が行われたのは家茂のとき、重量が天保小判の(3)分の1

1 輸出が超過

2 正文

3 茶は、入っていないぞ!

4 日本では金1に対し銀5、外国では金1に対し銀5👉だから金が流出した。

5 失敗した

 

開国をめぐる混乱 早稲田(教育)2016

開国をめぐる混乱に関する説明として、誤っているものはどれか。

ア 通商条約にもとづいて、1859年から横浜・長崎・箱館の3港で貿易が始まった。

イ 1860年代中ごろの横浜港における貿易額の国別割合は、アメリカとイギリスが大半を

  占めた。

ウ 主要輸出品の生糸は、輸出の増加に生産が追いつかず、国内消費用の生糸が欠乏した。

エ 安価な綿織物の輸入は、農村の手紡や後進機業地の織物業に大打撃を与えた。

オ 内外の金銀比価の違いから金が国外に大量流出したため、幕府は貨幣改鋳によってこれ

  を防いだが、悪化の発行は物価騰貴をもたらし、物価は開港後8年間で6倍以上に達し

  た。 

誤文→イ。アメリカは南北戦争中で、貿易はイギリスが大半を占めた。教科書253㌻参照。

 

13 安政の五カ国条約 早稲田(社学)2010

安政の五カ国条約に関連する記述のうち、適切なものはどれか、2つ選べ。

 イ 1858年日本はアメリカ、オランダ、ロシア、イギリス、フランスと相次いで修好通

   商条約を締結した。

 ロ 安政の五カ国条約は天皇の勅許を得られないままに調印された。

 ハ 後年、アメリカの圧力により、明治天皇は、1858年に締結された修好通商条約を勅

   許した。

 ニ 安政の五カ国条約によれば、日本人が在留外国人を裁判する場合、その本国の領事は

   参加できない。

 ホ 安政の五カ国条約では、一国の自主権を象徴する協定関税は認められなかった。

正解→イ・ロ。ハ→明治天皇✖孝明天皇、ニ→領事が参加する領事裁判権✖、ホ→協定関税である✖

 

14  1859年〜1868年の交易 早稲田(政経)2016

1859年〜1868年の期間における交易についての記述として正しいものはどれか。

a〉日本の輸入品の中心は、生糸・茶などであった。輸出品ならOKなんだけど。

b〉貿易相手国は、第一位がアメリカ、第二位がイギリスであった。一位がイギリス!

c〉貿易開始後に起こった日本からの金貨の大量流出を食い止めるため、幕府は銀貨を改

  鋳し、金に対する銀の相対価値を引き上げた。金貨を改鋳、万延小判

d〉輸出入取扱量は、横浜と神戸が拮抗していた。横浜ダントヅ

e〉日本の貿易収支は、基本的には、黒字であった。

正解→e

 

15 史料 日露和親条約 早稲田(政経)2013

今より後、日本国と魯西亜国との境、( 1 )島とウルップ島との間にあるへし。( )全島は日本に属し、「ウルップ」全島夫より北の方クリル諸島は魯西亜に属す。カラフト島に至りては日本国と魯西亜国との間に於て界を分たす(第2条)

1 史料( 1 )に入る島はどれか。

 ()シコタン ()クナシリ ()ハボマイ ()スイショウ ()エトロフ

正解→エトロフ

 

2 史料1が調印されたのはどこか。

 ()箱館 ()神奈川 ()下田 ()新潟 ()長崎

正解→下田