石原莞爾の魅力

中国では918事変と呼ばれ重要なメモリアルデーとなっている。事件のおきた現場近くには九・一八歴史博物館があり二人のレリーフが掲示されている。関東軍参謀:板垣征四郎と石原莞爾である。

 私は、極東国際軍事裁判で参考人として呼ばれた石原莞爾の言動で石原莞爾が好きになってしまった。

日本の科を、日本が大陸に進出をした日清、日露戦争の時点まで遡って扱おうとする検事の言葉に対して、では日本に開国を要求したペリーこそを第一の戦犯とすべきだ、と指摘した。ペリーが開国を強いて、列強が泥棒のやり方を教えたので、日本人もそれを真似するようになったのだと。

 また別の検事が、石原に迎合するようにして、石原と東条との間に深刻な意見対立があったのではないか、と水を向けると、石原は「東条には思想も意見もない。意見がない人間と意見が対立するわけがない」と云い放ち、かようなものを戦犯として扱うのは、米国にとって不名誉であるから、釈放すべきだと、云い放った。

        『地ひらく』石原莞爾と昭和の夢 福田和也著 より抜粋