現社でGO!NO12 裁判所と司法 ★★★頻出
司法権とその独立
❶司法権:「1法の支配」を実現するため、具体的な事件や争いに法律を解釈・適用し国民の権利を保障
❷訴訟の種類
①2民事訴訟:私人(個人や法人)間の争いを裁く(和解での解決もある)
②3刑事訴訟:犯罪を犯した疑いのある被告人を裁く(検察官が起訴)
③4行政訴訟:政府や地方公共団体の行政行為の適法性について裁く
❸5司法権の独立:裁判官が国会、内閣、上級裁判所の裁判官などから影響を受けない
例→大津事件
→裁判官の職権の独立を保障(第76条):裁判官は「6良心に従い独立してその職務を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」=「心身の故障」と7弾劾裁判所 で罷免が決定される場合以外は身分と報酬を保障(第78条)
最高裁判所長官=205万円、40代=70万円、判事30代=52万円、20代=23万
日本の裁判制度
❶裁判所の種類
司法権は8最高裁判所とそれ以外の9下級裁判所に属する(第76条)
→下級裁判所:10高等裁判所・地方裁判所・11家庭裁判所・簡易裁判所
❷最高裁判所の権限:12規則制定権や13下級裁判所裁判官の指名権をもつ
❸14三審制:同一事件について三回まで裁判を受けることができる
❹国民による裁判の監視
①公開の原則(第82条):裁判は原則として公開
②最高裁判所裁判官に対する15国民審査(第79条)
❺特別裁判所の禁止:明治憲法下にあった行政裁判所などは禁止されている
違憲法令審査権
❶違憲法令審査権:法律や16命令、規則、処分が憲法に反していないかどうかを判断する権限→最高裁判所(「憲法の17番人」)が最終的な判断
❷18統治行為論:高度に政治的な問題は司法審査の対象外とする考え方→憲法判断にあまりに消極的だと「憲法の番人」の役割を果たせない(司法権の自制)
日本の司法の課題
❶19冤罪:無実の人が、犯罪の犯人であるという判決を受けること
❷20再審:裁判に重大な欠陥があることを理由に裁判をやり直すこと
司法制度改革
❶裁判を受ける権利の保障…日本司法支援センター(法テラス)設置
❷21ロースクール(法科大学院)の設置:裁判迅速化のための法律家増員
❸22裁判員制度…参審制(ヨーロッパ大陸諸国)に近い(英米は陪審制)
❹その他の刑事訴訟改革…検察審査会の権限強化、公訴事項の廃止や延長
図表で確認
問1 最高裁の違憲判決をまとめた下の表の空欄に適語を入れよ。
違憲判決 |
根拠となった憲法 |
違憲の理由 |
尊属殺重罰規定違憲判決 (1973.4.4) |
第14条 (1法の下の平等) |
尊属殺人の法定刑が死刑又は無期懲役というのは、普通殺人の法定刑に対して著しく不合理な差別であり、違憲。 |
2薬事法距離制限違憲判決(1975.4.30) |
第22条 (3職業選択の自由) |
薬局開設の許可基準として距離制限を設けるのは合理的規定といえず違憲。 |
衆議院4議員定数不均衡違憲判決 (1976.4.14,1985.7.17) |
第14条、44条(5 法の下の平等 、議員及び選挙人の資格) |
議員一人あたりの有権者数の格差が合理的に許される範囲をこえているので、違憲 (※ただし選挙は有効) |
6共有林分割制限規定 違憲判決(1987.4.22) |
第29条① (7財産権の保障) |
共有林の分割請求に対する制限は不必要な規則で、財産権の制限に該当し、違憲。 |
愛媛8玉ぐし料の公費支出違憲判決(1997.4.2)
|
第20条③、89条(国の9宗教活動の禁止、公の財産の支出・利用制限) |
愛媛県による玉ぐし料などの公費支出は、その目的が宗教的意義をもち、特定の宗教を援助する効果があり、違憲。 |
10郵便法損害賠償制限違憲判決(2002.9.11) |
第17条 (国の11賠償責任) |
郵便遅配で生じた損害について、国の損害賠償の範囲を限定した規定は合理性がなく、違憲。 |
在外国民12選挙権制限違憲判決(2005.9.14) |
第15条①③。43条①、44条(13普通選挙の保障ほか) |
在外国民の選挙権(衆議院議員の小選挙区・参議院議員の選挙区)を制限する公職選挙法の規定は憲法に反し、違憲。 |
14国籍法婚外子差別違憲判決(2008.6.4) |
第14条 (法の下の平等) |
外国人から出生した後に日本人の父が認知した婚外子に日本国籍を認めない規定は不合理な差別で違憲。 |
神社への市有地無償提供違憲判決(2010.1.20) |
第20条①、89条(国から特権を受ける宗教の禁止ほか) |
砂川市の神社への市有地無償提供は、15政教分離の原則等に反し、違憲。 |
婚外子相続差別違憲判決 (2013.9.4) |
第14条 (法の下の平等) |
婚外子の相続分を嫡出子の二分の一とする16民法の規定は不合理な差別で違憲。 |
女性の再婚禁止期間違憲判決(2015.12.16) |
第14条、24条②(法の下の平等、両性の本質的平等) |
女性のみ離婚後6カ月の間、再婚を禁止する16民法規定について、100日をこえる部分は不合理な差別で違憲。 |
2014本試 日本の裁判制度に関する記述として最も適当なものを、①〜④のうちから一つ選べ。
① 裁判官を罷免すべきかどうかについて裁判する弾劾裁判所は、最高裁判所に設けられる。
② 日本国憲法の規定によると、裁判所の独立は保障されているが、裁判官の独立は保障されない。
③ 最高裁判所においては、民事訴訟や刑事訴訟だけでなく、行政訴訟も扱われる。
④ 日本国憲法の規定によると、裁判所の許可がない限り、裁判は公開されない。
正解→③
【2010年追試36】日本の違憲審査制度に関する記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 最高裁判所により違憲と判断された法律は自動的に廃止されるため,国会による改廃
は不要である。
② 違憲審査権の行使が認められているのは最高裁判所のみであり,下級裁判所は法令等
の違憲性を判断することはできない。
③ 最高裁判所は,具体的な事件から離れて,抽象的に法令の違憲性を判断することがで
きない。
④ 違憲審査権をより実効的なものとすることを目的とした司法制度改革により,裁判員
制度が導入された。
解答:③
【2009年本試03】日本の司法制度が抱える問題やそれへの対策に関する記述として適当でないものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 裁判官の独立を保障するため,最高裁判所が下級裁判所の裁判官の任命に関与するこ
とは法的に禁止されている。
② 国民の司法へのアクセスを促進するために,法曹人口を増やすなどの司法制度改革が
進められている。
③ 冤罪に問われた人を救済するため,無罪とすべき明らかな証拠が新たに発見された場
合などに,再審を請求することを認める制度が設けられている。
④ 裁判に時間がかかり過ぎるとの指摘がなされており,裁判の迅速化を進めるための法
律を制定するなどの改革が行われている。
解答:①
【2007年本試05】国民審査に関する記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 国民審査は,最高裁判所の裁判官及び下級裁判所の裁判官に対して行われる。
② 国民審査の結果,罷免を可とする票の数が,国民審査の投票をした者全体の3分の2
を超えなければ,その裁判官は罷免されない。
③ 国民審査において,投票用紙に何も書かずに投票した場合,その票は無効とみなされ
る。
④ 国民審査は,国民による一種のリコール制度であるが,国民審査によって裁判官が罷
免された例は,これまでにない。
解答:④
【2007年本試02】最高裁判所に関する記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 最高裁判所は,民事事件と刑事事件を扱うが,行政事件を扱わないのは,行政の拡大
による行政事件の増加に対応できないためである。
② 最高裁判所は,長官1名と判事14名の合計15名で構成されているが,その15名に
は,高等裁判所裁判官の経験が必要とされている。
③ 最高裁判所は,高等裁判所や地方裁判所などの下級裁判所が判決を下す際,その判決
の内容について,指揮する立場にある。
④ 最高裁判所は,訴訟に関する手続や裁判所の内部規律など,日本国憲法で定められて
いる事柄について,規則を定める権限を有する。
解答:④